砦に先を越されたキャプテン、副キャプテン

「砦が結婚するらしい」と山田から連絡が入ったのは一昨日の事でした。私はわが耳を疑いました。砦とは太田の事です。私と山田と太田は高校の同級生です。三人とも柔道部で私がキャプテン、山田が副キャプテン、そして太田は万年補欠でした。

あれからかれこれ三十数年、いまだに何かあれば連絡し合い一杯飲むとても仲の良い三人組です。そして私たちは三人ともそろって未婚です。いや、未婚でした。なぜ太田の事を砦と言うか?それは例えどんな事があっても太田は結婚しないだろう、何があっても太田は未婚を守る、そんな冗談からついたあだ名です。

「まず太田抜きで詳しくその中身を聞かせてくれ」私はかなり動揺して山田に言いました。そして昨日、いつもの居酒屋にはすでに山田がいました。

「いやあ、オレも驚いたよ。もう2年も付き合ってるらしいんだよ、本当は……」太田は笑ってそう言います。

「○○駅の中に○○ってケーキ屋あるの知ってるだろ」「ああ知ってる」「あそこにいたんだよ、二人で」「彼女とか?」「そう」「それで」「まあ、彼女の前だからあまりいろいろ聞けなかったけど、友人の友人のそのまた友人だとか言ってたな」「それで?」「いやな、俺たちに招待状贈るから楽しみにしてくれって」「それって結婚?」「ああ」

それからです。私と山田の婚活が始まったのは……。

何しろ万年補欠だった砦に先を越されたのですから、元キャプテン、副キャプテンのメンツが立ちません。

ジャスト五十歳の婚活デビューです。

幸い私も山田も企業の管理職でそこそこの蓄えはあります。

学歴もまあまあ、容姿もまあまあ、何とかなるだろうと中高年向けの婚活パーティーや合コンらしきものに参加をするのですが、どうもご希望の花嫁候補に当たらないのです。

「先週はどうだった?」「うーん、好みのタイプはいたがダメだった」「お前は?」「同じく」。いつもの居酒屋でついに三人組から二人組になった山田と私の恒例婚活報告会です。

「そもそも俺たちの体形がいかんのかな」「何しろ柔道県大会一位と二位の猛者だからなあ」。

「そう言えば砦はガリガリだもんなあ」「いいや、もうあいつの事を砦と呼ぶのはよそう」「少しダイエットすればもうちょっとモテルかもしれんな」「人の三倍は食欲あるしなあ」「ところであのカウンターの二人組の女性、いい感じだと思わないか」「バカ、あれはまだ二十代だぞ」「たったの三十歳年下じゃないか」「……」「……」「そうだ、あきらめて太田の結婚、阻止するか」「そりゃいい、また三人でここで飲めるな」(笑)

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